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「おいしさのその先」まで届けたい。学生が見つけた、フェアトレードの真の意味
- 選んだ学生団体
- 同志社大学 CHAD
KEY POINTS FOR MY CHOICE いい企業に選んだポイント
フェアトレードの推進
生産国の環境や子どもの支援
コーヒー文化を通じた国際理解
取材前の CHAD の思い描く小川珈琲の良さ
2025-08-01|企画・運営:ミツキャリ運営事務局|取材者:同志社大学 CHAD|文責:ミツキャリ編集部 宮城
同志社大学の国際協力系学生団体「CHAD」は、京都に本社を構える老舗コーヒーメーカー・小川珈琲ホールディングスを訪問しました。CHAD は、カンボジアで教育支援や雇用創出を行う学生団体。理念は「自己満足で終わらない支援」。そんな彼らが“いい企業認定”のインタビュー先に選んだのが、フェアトレードやサステナブルな社会づくりに長年取り組む小川珈琲だ。
正直、CHAD の学生が小川珈琲さんを「いい企業認定」の候補に挙げた最初の理由は、表向きの社会性だった。フェアトレードの推進、生産国の環境や子どもの支援、コーヒー文化を通じた国際理解。私たちミツキャリの視点でも、学生団体 CHAD の活動軸と重なるキーワードが並ぶ。社会貢献に熱心な企業に違いない。そんな「良さそう」という期待を胸に、私は学生たちと京都の本社を訪ねた。
フェアトレードは目的ではなく、品質を守る仕組み
ロビーは穏やかな焙煎の香りに満ち、緊張した学生たちの手元でメモ帳が開く。最初の質問が始まる。学生の第一声は単刀直入だった。
「御社がフェアトレードに取り組む理由は何でしょうか」
担当者は一拍おいて、こう答えた。
「おいしいコーヒーを届けるために、フェアトレードは当たり前なんです」
続けて、落ち着いた口調でこう説明する。
「環境のため、という言い方もできます。ただ、私たちの出発点は品質です。生産者が正当な対価を得て、安心して畑に向き合える。その土台があるから、良い豆が継続して手に入る。だからフェアトレードは目的ではなく、品質を守る仕組みなんです」
取材前に抱いていた「社会性中心」の仮説が、その場で更新される。良いことをしている会社、ではなく、おいしさを守るために合理を積み上げている会社。学生たちのペン先が止まり、顔が上がったのが見えた。
「おいしいコーヒーを届けるために、フェアトレードは“当たり前”なんです。」という言葉が印象的だったとインタビュー後の学生はそう答えた。コーヒーの品質を守り続けるには、生産者が正当な対価を得て、誇りを持って仕事に向き合える環境が不可欠。フェアトレードは、その“仕組み”でしかない——。SDGs やエシカル消費が話題になる以前から、同社は本質を見据えて取り組みを続けてきたことが深く胸に刺さった瞬間だ。
「気持ちが伝わる支援」が、人と企業をつなぐ
学生団体との関わりについて尋ねた際、同社の担当者は「どんな思いで活動しているのかを聞きたい」と語った。活動報告のどこを見ているのかを尋ねると、担当者は迷いなく答えた。
「どんな気持ちでその活動をしているのか、を一番知りたいんです」
こう続く。
「立派な報告書も大事ですが、数字や写真だけでは伝わらない温度があります。なぜそれを選んだのか、何に心が動いたのか。そこに共感が生まれると、一緒にやりたいことが自然と見えてきます」
隣の学生が小さく「温度……」とつぶやく。CHAD が掲げる“自己満足で終わらない支援”という標語に、想いをどう届けるかまで設計する、という一段深い宿題が加わった瞬間だった。報告書や活動実績よりも“想い”を大切にしているという姿勢は、支援活動に取り組む CHAD の学生たちにとっても大きな学びとなったはずだ。
情報は現場の近くにある
市場やトレンドの捉え方を聞くと、実務の匂いがする答えが返ってくる。
「現地に近いプレイヤーから情報を集めることを大切にしています。商社さんや長年のパートナーの声は統計より早い。産地で何が起き、次の収穫にどう影響するのか。距離を縮め、信頼を積むことが品質の安定につながります」
支援先との距離を縮めてきた CHAD の姿勢と、企業の現場主義が静かに重なる。学生たちの頷きが深くなるのを、私は横で確かに見た。
学び合う文化が、誇りをつくる
社内の雰囲気を尋ねると、担当者の表情が和らいだ。
「入社前後の研修で同期が垣根なく話せるようにしています。現場で先輩と一緒に学ぶ機会も多い。コーヒーの検定受験も会社として後押ししています。知識や経験が積み上がると、不思議と商品にもお客様にも自信を持って向き合えるんです」
学び合う仕組みが個人の誇りを育て、それが会社の品位になる。外からは見えにくいが、確かに根を下ろしている文化だと感じた。
社会の変化、学生の存在
社会の意識変化について尋ねると、こんな言葉が返ってきた。
「20 年前は、フェアトレードを知る人は多くありませんでした。いまは学生さんからの問い合わせが増えています。声をかけてもらえるのが本当にうれしい」
肩の力が抜けた学生の笑顔が、その言葉への静かな応答になっていた。
取材前と取材後で、見えている景色は変わった
取材前と取材後で、見えている景色は明らかに変わった。
〈取材前〉評価の中心は表向きの社会性だった。フェアトレードや支援の「良さげ」な輪郭に、私たちも学生も期待していた。〈取材後〉見えてきた本質は、品質起点の合理性が社会性を内包している、ということだった。
気づきは四つに整理できる。一つ目は、目的と手段の再定義。良いからやる、ではなく、おいしさを守るために必然としてやる。二つ目は、想いの設計。数字の背後にある温度を、言葉と構成で届け切る。三つ目は、現場主義。距離を縮め、信頼を積むことが意思決定と品質を強くする。四つ目は、学び合う文化。育成の仕組みが、静かな強さとしてブランドを支える。
この逆転は、企業の価値の感じ方を一段深くしてくれた。小川珈琲さんは「社会に良いことをしている会社」ではない。おいしさというコアに忠実であり続けるからこそ、結果として社会を良くしている会社だ。
取材した学生団体:同志社大学 CHAD(Cambodia Has A Dream)
CHAD(Cambodia Has A Dream)は、2014年に同志社大学で生まれた国際協力系の学生団体です。約180名のメンバーが「教育支援を通じたカンボジアの地域貢献」を掲げ、企画から実行までを学生自身の手で動かしています。
活動の柱は、現地の学校への物資支援、夏と春の現地渡航、日本国内での啓発活動の3つ。支援する側・される側という一方通行ではなく、カンボジアの人たちと対等な関係で「共に学ぶ」ことを大切にし、“自己満足で終わらない支援”を目指しています。
掲げる言葉は「誰かの『まだ』を『いま』にする。」活動の様子は Instagram で発信しています。
Instagram:@chad.0917(https://www.instagram.com/chad.0917/)
小川珈琲株式会社 × 同志社大学 CHAD
- 所在地
- 〒615-0802 京都市右京区西京極北庄境町75
- WEBSITE
- https://www.oc-ogawa.co.jp/
- 事業内容
- コーヒーの製造および紅茶、コーヒー器具、輸入食品、喫茶材料の卸、販売
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